Maebashi Brick Warehouseの1Fを日本橋が本店の「つじ半」という海鮮丼専門店に改修したプロジェクト。他の支店に採用されている、典型的な和の雰囲気だけではない外観との調和を考えたデザインを目指した。外壁に使用した特注レンガのパターンの図と地を反転した木の目隠しや、本来タイルの裏になる部分に釉薬を塗って焼いた様々な表情を持つ特注タイルなどが、前橋とつじ半のアイデンティティの架け橋となっている。

photo : Shinya Kigure

池袋の商業施設内にオープンしたアイウェアブランド「JINS」のインテリアデザイン。既存の什器モジュールを活かしながら、パレットという通常倉庫などで使われる輸送・物流用の台を組み合わせ、新たなディスプレイのあり方を探った東急ハンズ池袋店。倉庫のようなシンプルで素朴な空間の中に、主役であるカラフルなメガネが展示され、まるで標本箱の中をのぞいているようなワクワク感にあふれたデザインとなっている。

壁面・床面のグラフィックやパレットに施されたタイポグラフィーは、倉庫のコンセプトに寄り添いつつも、挿し色となり老若男女が訪れやすい雰囲気を演出している。

photo : Daici Ano

「世界で一番集中できる場所」というコンセプトのもとに、一人で深く考えるためのソロワークスペースを研究・実践しているTLが提案する某官公庁内のワークスペース。「自分の席に着くまでの空間体験が集中のスイッチとなる」よう、入室するとまず目前に草原のような大きな緑の面が広がり、この場所が特別であることを視覚と嗅覚と聴覚に訴えかける計画としている。また「思考を深くすること」と「フィジカルに潜ること」の連想から、床から机の高さまでの仕上げを土を感じさせる色とテクスチャに統一し、土面に半分潜っているかのような錯覚を与えることを意図している。机より上は、緊張とリラックスのバランスが取れた状態となるよう、壁面、天井面、ガラスのパーテーションなどを黒で統一し視界に入る情報を最小限に抑え集中を促しつつ、正面は緑で埋め尽くし、対面する利用者と目線が合うことなく集中の合間の抜けを提供できるようにした。

photo : Daici Ano

「世界で一番集中できる場所」というコンセプトのもとに、一人で深く考えるためのソロワークスペースを研究・実践しているTLが提案する渋谷公園通りのワークスペース。

「自分の席に着くまでの空間体験が集中のスイッチとなる」よう、入室するとまず目の前にビルの一角とは思えないスケールの大きな石庭が現れ、利用者は中央に配置された飛び石を渡り各ブースへと向かう計画としている。ブース内からは、対面する利用者と目線が合わさずに石庭を臨むことができるようレイアウトされている。

素材は、外部と連動し調光・調色された光環境を体感しやすいよう、石庭と石庭に面する壁は、白河砂利のグレーや砂壁の白など光の変化が感じられやすいものを選定し、通路は無機質になり過ぎないよう木の素地を残している。対照的に、個別ブースの中は机の天板を含め全て黒とすることで、視界に入る情報を最小限に抑え集中を促している。

photo : Daici Ano

前橋の中央通り商店街再生へ向けた[de+sign project]の第三弾として計画した「前橋カツカミ」というとんかつ屋さんの建物である。完成している隣⼆軒と調和を保ちつつ、単体としても個性がある建築を考えた。前橋に⾵景として存在していた煉⽡倉庫からインスピレーションを得て、家型という切妻屋根をもったシンプルなボリュームを必要⾯積の要件から敷地いっぱいに挿⼊している。そうすることで普段アーケードを持つ商店街では⾒慣れない屋根のラインを⾒せ、従来の商店街のファサードに新しい抜けをつくっている。同時に、家型のアーケード⾯には２階が垣間⾒えるような⼤きな矩形の開⼝を、中庭がある⾯には中庭と位置を合わせた家型の⼤きな開⼝部を設けることで、光や⾵や⼈の⾏き来を可能にしている。この「図と地の家型」の考え⽅によって、境界があいまいになり、中庭を介した豊かな関係がさらに発展していくことを期待している。

photo : Shinya Kigure, Hiroshi Mizusaki

神奈川県大磯町の、海がすぐの住宅地に建つ若い夫婦の為の住宅である。 彼らが選んだ2人で住むには随分大きな敷地に対して、その「大きさ」を存分に体感できる家を提案したいと考えた。 まず、一般的な北側接道敷地の「駐車場→間口いっぱいのヴォリューム→南面した庭」という配置計画ではなく、敷地の奥行きいっぱいの細長いヴォリュームとし、動線を長くすることで身体的に大きさを体験してもらえるようにした。また、敷地がＴ字路の突き当りにあることから、ヴォリュームを東に寄せ、抜けをつくることで空気や風の流れをせき止めないようにするとともに、道を引き込み都市との接点を延長している。 さらに、引き込んだ西側半分を含む形で建築面積いっぱいの寄棟の屋根を架け、道の延長である庭に内部のアクティビティをオーバレイした。 中部も外部もたくさんの空気を取り込んだ大らかな建築となっている。

photo : Takumi Ota

photo: Rex Chu

群⾺県前橋市の昔からある畑や住宅地と⼤きなモールとの境界部分に建つ、貸店舗である。何でも入る「小屋」であると同時に、この地域にとってスパイスとなる、発信力(開放性)の高い建築が求められた。まず、周辺に馴染むシンプルな矩形の家型ヴォリュームを台形の敷地に挿入する。次に通りに対しての正面性、駐車場の行き来のための車路幅とアプローチを確保するため、通りに平行にヴォリュームをカットし、カット面を開口部とする。この時、屋根部分を残すことで生まれた庇によって、開口部のガラス面の反射が抑えられ、開口部の透明性が担保される。同時に、北面する屋根の長手いっぱいにトップライトを設け、空間全体を光で満たすことで、その光と共に正面の連窓からアクティビティが通りへと漏れだす空間を提案している。

photo: Takumi Ota

「７人の若手建築家によるサーファーの家展」という展覧会に出展したサーファーの為の木造住宅の提案。 湘南モノレールの車内中吊り広告を使い、鉄道空間を展示会場にするというこれまでにない試みであった。
我々は住宅の機能の中でサーフィンと最も関わりの深い、お風呂に特化した住宅を考え、外部から直接入れる大きなバスルームがメインの「風呂小屋/Bathing Shed」を提案した。サーフィンの後、心おきなくゆったりと過ごすことができる天井が高く広々としたバスルームは、入浴時以外もボードの手入れや読書など、リビングのような使われ方も想定しており、「バスリビング」という新しい居場所の提案にもなっている。その他の機能はコンパクトに納められており、単体で完結した住宅として機能するほか、既存の戸建て住宅のゲストルームを兼ねた離れとして、湘南モノレールが走る沿線の住宅街にも建てることができるよう考えた。

兵庫県に建つ脳神経外科クリニック。住宅や中層マンションが立ち並ぶ中、駐車場や公園など空地に囲まれた敷地に、アクセントとなる建物を考えた。大きな屋根の白いボリュームは、公園で遊ぶ子供たちや、散歩されている高齢者の方々の目を引き、その中には開放的な待合室が広がる。連続的に続く窓のルーバーは、外の気配を感じさせながら、守られた暖かみのある空間をつくり出す。安心感と開放感のある、地域のクリニックとなるよう意図した。

広島県府中町に建つ若い夫婦とその子供たちのための住宅。ひな壇上に造成された傾斜地の間口が狭く奥行が深い敷地に２枚の壁を挿入することを考えた。１枚目の壁は、道路への建物による圧迫感を抑える役割をするとともに、リビングの拡張としてのプライベートな前庭空間を生み出している。２枚目の壁は、ダイニングとキッチン、ダイニングと子ども室を緩やかにつなぎながら、常に家族のアクティビティの中心にある、拠りどころのような存在となることを意図している。

photo: Sasakura Yohei

クリスチャンダダというファッションブランドの国外初となるシンガポールの旗艦店の内装プロジェクトである。「枯山水」をコンセプトに、デザイナーの原風景である瀬戸内海とそこに浮かぶ島々を抽象化し、ショップとして表現している。

一連の岩のようなヴォリュームたちは風景を創り出しながら、同時に、ディスプレイ、ヴィトリーン、フィッティング、ソファ、ミラーなどそれぞれがショップ空間を構成するのに必要な機能を持っている。素材は、岩のテクスチャを再現するため、画像加工により制作したパターンで穴開けをしたアルミプレートを使用した。真っ白く漂白されたフロアと天井、全面ガラス張りのファサードというショーケースのようなオープンで静的な空間の中に注意深く配置された真っ黒な岩々のシークエンスは、買い物客を島から島へといざない、ゆったりと回遊しながら買い物を楽しんでもらえるよう意図している。

photo: courtesy of Christian Dada

AGCxAAF主催による「35歳以下の若手建築家によるガラス建築の設計競技」で最優秀賞に選ばれた案をAGC Studioでの展示用に実寸大で制作したガラスパビリオン。
厚さ0.55㎜の超薄肉ガラスLeoflexを使用し、曲率を変えながら可動するガラスのカーテンを提案している。新しいガラスの使い方、開口部の可能性を示すと共に、可動することにより変化するガラスの重なり合いが床に映り込むやわらかい光と影を生み、ガラス曲面の反射と合わせて多様な光の空間をとなるよう意図した。

photo: Takumi Ota

群馬県前橋市で提案した貸店舗のプロジェクトである。カフェ、美容院、花屋、ケーキ屋さんなど何でも入る「小屋」が求められた。同時に、地域にとってスパイスとなる、オープンで華やかな建物が欲しいという要望に対し、空間を形づくる架構／構造が表現的である状態を考えることにした。具体的には、ゴシック教会の交差ヴォールトが構造でありながら同時に空間に強度を与える表現となっていることをイメージしながら、屏風のようにジグザグの壁から小屋（家型のヴォイド）をくり抜き、アーチ状の門型壁が連なっていく１室空間を提案している。長手方向を見た時には陰影を映し込む壁のシークエンスにより象徴的な空間が現れ、対照的に、短手方向は緩やかにV 字型に分けられた外向きの開放的な空間となっている。

倉庫からコマーシャルギャラリーへのコンバージョンのプロジェクト。通りからも中の様子がうかがえるよう、道路に面した開口部は全面ガラスサッシとした。また新たに挿入した展示壁には窓と引き戸を設けた。これらのエレメントを敢えて隠さないことで、外にいるような感覚を与えること（ただの真っ白い展示壁に外壁であるかのような個性を付加すること）を意図している。

photo: Takumi Ota

　「Shelf Museum」 は Under 35 Architects exhibition 2015 の展覧会の期間中だけ存在する、架空のミュージアムプロジェクト。「shelf (棚)」をこのミュージアムプロジェクトの1/20の模型空間に見立てることで広大な展示空間を獲得し、その中にこれまで+ft+が手掛けて来たプロジェクトを展示している。　通常の展覧会のように、作品を鑑賞者の視点で展示するだけでなく、模型（棚）上の人（鑑賞者）の視点に立って展示することで、普段建築に関わっている人にもそうでない人にも、我々建築家が日常から行っている「模型の人になったつもり」で空間を体験して楽しんでもらうことを意図した。また、今回は「@ +ft+ tokyo office」とすることで展示会場に+ft+の東京事務所を１／１スケールで移設し、普段我々が事務所で使用している棚を「shelf museum」として展示している。+ft+ のプロジェクトを「shelf museum」を通して鑑賞してもらうのと同時に、東京事務所のスペースをリアルスケールで体感してもらうことで、+ft+の活動をより多くの方々に感じてもらえるような展示を目指した。

コミュニティサイクル「Kobe Linkle（こうべリンクル・コベリン）」のポートデザイン。
リンク（link）の語源である古デンマーク語の「laenker」という単語が意味する「鎖」「金属の繋がり」を手がかりに、神戸の特徴である山並みや海(波)をモチーフとした。
神戸らしく視認性の高いポートをデザインすることで、外国人や観光客も含めて利用しやすく親しみを持ってもらえるコミュニティサイクルを目指した。

photo: + ft +

Japanese Junction 2014-2015 ”Emerging Trajectories”展に出展した際の展示構成。まず、展示会場にあったソファを1/20に縮小されたミュージアム空間に見立て 「sofa museum」という名の展覧会の期間中にだけ存在する架空のプロジェクトを想定した。そしてその中に、これまで我々が手掛けて来たプロジェクトを展示している。そうすることで広大な展示空間を獲得するとともに、模型の人のサイズになったつもりで空間を体験するという経験を鑑賞者にしてもらうことを意図している。

Photo: Hiroki Yumoto

KIITO（デザイン・クリエイティブセンター神戸）の前に建つバス停のデザイン。KIITOが旧生糸検査場であったこと、デザイン・クリエイティブセンター神戸のコンセプトが「みんなクリエイティブになる」であったことから、ワークショップを通じて一般の方々と生糸（KIITO）をちりばめた樹脂タイルを制作し、それらをレイアウトしたものをバス停とした。

両国にあるマンションのリノベーション。ギャラリストであるクライアントの要望は、アートをかけられる壁が欲しいということと別々の部屋にいても他の家族の気配が感じられるような空間がいいということ。大きなワンルームに独立した展示壁を５枚挿入することで空間をゆるやかに分節する計画とした。

KIITO（デザイン・クリエイティブセンター神戸）のオープニングイベント「ちびっこうべ」で子供たちと一緒にデザイン・施工したパビリオン。子供たちに直に建築のマテリアルの触って欲しいと考え、ワークショップで一緒に日干し煉瓦を製作し、それらを組み上げてパビリオンとした。

１２人のアーティストによる展覧会の会場構成。普段物資が保管されている倉庫が会場として使われた。展覧会の「現代における抽象」というテーマに対し、展示空間もホワイトキューブや見本市にみられる白い壁を更に抽象化した、ワイヤーフレーム状の展示面によって空間を分節する計画とした。

広島郊外に建つ戸建て住宅。風が抜ける住居が欲しいというクライアントの要望に対し、南北方向に何枚もの独立した壁を建て、風の通り道を作るとともに、それぞれの壁がリビング、ダイニング、キッチン、階段など住宅に必要な機能をアコモデート（提供）する計画とした。

アートの見本市のブースで必要な家具一式のデザイン。閉じているときは、彫刻を置く台座のようにミニマルなボリュームとして存在しているが、引き出すとギャラリスト用のスツール２脚、コレクター用のスツール２脚、資料を収納できる棚が現れる。美術品と共に世界中を飛び回れるよう、組立式でフラットパッキング可能とした。

バーゼルの旧市街にあるうなぎの寝床のようなアパートのリノベーション。アートやデザイン家具をコレクションするクライアントであったため、建築の一部になりすますデザインではなく、キッチンやバスルームをばらばらの要素に分解して考え、他のものたちと等価に見せることを考えた。

Extending Symmetries から一年半、同じブティックで行ったインスタレーション兼内装デザインのリニューアル。「空間の拡張」という同じテーマを、このプロジェクトでは建築的な要素で表現することを考えた。階段の一部が部屋によって切り取られることで、その続きの空間が感じられるよう意図した。

Photo: Iwan Baan

Builder: établi

バーゼルの旧市街にある小さなセレクトショップで行ったインスタレーション兼内装デザイン。小さなショップ空間が少しでも広がりを持つように、鏡のような写真とその写真とシンメトリーを形成するディスプレイ家具をデザインした。建築的な要素を使わないで空間を構成することを意図した。

Photo: Eik Frenzel

Shop: HANDMADE

結婚の披露パーティーのためのインスタレーション。工事現場というラフで広い空間が会場であったため、出来る限り簡単な操作で花をたくさん製作し、空間を満たすことを考えた。お酒が好きな新郎新婦にちなんで、ビールのコースターに切り込みを入れくるっと円錐状に丸めたものを花とした。

Photo: Eik Frenzel